「真ん中のマドロナ」:ファンストーリー紹介
2015-02-11
ゲスト寄稿者 Cathy Tea
プレイヤーの皆さんから寄せられる素晴らしいファンストーリー。それを広く紹介するのに、ザ・シムズ公式ブログほどふさわしい場所はありません。 第1回となる今回は、Cathy Teaさんのストーリーを紹介します。
「私がザ・シムズのプレイを始めたのは、「ザ・シムズ2 ペットライフ! データセット」からです。以来、このシリーズの虜になって来ました。 今回のストーリーは、Pinstarさんが「The Sims 4」用の公式レガシールールを発表した昨年9月4日からプレイを開始した、 “おバカなラブレガシー(The Goofy Love Legacy)”という物語の一部です。 “おバカなラブ”シリーズの他に4つの物語があります。そのうちの1つはプレイを終えたので、近いうちに新しい物語を開始したいと思います。 新しい物語は別ですが、これまでの物語では、さまざまなシムの挑戦を描いています」。以上のようにCathyさんは語ってくれました。
Cathy Teaさんは普段、大規模学区のウェブエディターとして働き、地域のコミュニティーカレッジでオンラインライティングの講師も務めています。 趣味はザ・シムズのファンである他に、チェロや庭いじり、ボーイフレンドとOasis Springs周辺の砂漠を散策すること。 今回のレガシーの始祖であるシダー・ボウと同じように、時折、青空の下でくるくる回りながら 「ねえ見て!世界はなんて美しいの!」と口ずさんでいるそうです。
“おバカなラブレガシー”からの一幕
「真ん中のマドロナ」。アスペン姉さんはいつも私をそう呼ぶ。10世代を目指す一族の5代目で、真ん中の子だから。
私は真ん中で見る世界が好き。
真ん中はとっても素敵。姉さんがティーンになるまで、私は姉さんと一緒に子供で、私がティーンになるまでは、妹のポプラが一緒に子供。今、私はアスペン姉さんと一緒にティーンで、私が若者になるまでは、私はポプラと一緒にティーンでいられる。 それが真ん中であることの特権。 私の前を行く姉さんとも、後から来る妹とも、一緒の時間を過ごせること。
前にアスペン姉さんが、オーブンを火事にしたことがあった。 というか本当の犯人は、姉さんのタコスキャセロールだけど。
タコスキャセロールが火を噴くなんて知らなかった。
大事にはならなかった。 父さんと、父さんの従兄弟が火を消して、誰も怪我をしたりしなくてすんだ。 (でも、お腹が空いてすごく困った。 キャセロールを楽しみにしてたのに!)燃えてしまったコンロの補償に、保険会社から§13が支払われた。 買い直すには全然足りない。 それに、失われた思い出までは取り戻せない。
父さんが言ってた、クレードルロックにこの家が建った時から、ずっとこの家にあったコンロだって。家がどのくらい古いかは知らないけど、少なくとも4代前まではさかのぼれることがわかってる。私達姉妹がこの家で生まれた5代目。家には先祖代々のお墓がある。それと多くはないけど、仲良くなってここで最期を迎えた人たちのお墓も。 一番古い2つのお墓の名前はもう読めない。
家の裏にお墓は一杯あるけど、別に暗い家だとか、そんなことはない。
古い2つのお墓の文字は、砂漠の風と砂を何世紀も浴びるうちに、かすれて読めなくなってしまった。 1つのお墓の「宇宙を股にかけ…」というのと、もう1つの「シダーはただひとりの…」という言葉だけは何とか読めるけど、名前はもうわからない。
姉さんと、叔母さん、母さんは陰気。お墓が一杯あるせいじゃないかって思うこともある。シムは皆生まれて、死んで、記憶に残って、でもいつか忘れられてしまう。お墓を見てるとそう思えるから。でも私は、名前を忘れられてしまうほど家族が長く暮らしてきた場所に住めるって言うのは、とても幸せなことだと思う。
あのコンロが焼けてしまった後、私はこれまでにあのコンロで料理されてきた、たくさんのグリルドチーズサンドやスクランブルエッグのことを思い浮かべた。オーブンで焼かれてきた、たくさんのバースデーケーキ。キッチンの長いテーブルで家族みんなで食べられてきた、たくさんの食事。 父さんは、このキッチンで母さんにプロポーズした。
このキッチンは、何代にも渡って私達一族の中心を務めてきた。
私が座って宿題をするこの場所。今まで何人の子供たちがここで同じように宿題をして来たんだろう。 父さん、叔母さん、パロ・ベルデおじいちゃん。おじいちゃんは、「王さまのラマ使い」と呼ばれた有名なコメディアンだった。そして、おじいちゃんのお母さん。私はそのゴーストに会ったことがない。
その、私がゴーストに会ったことがない私のひいおばあちゃんは、死神に愛を捧げたっていう話がある。 ひいおばあちゃんのお母さん―名前がわからなくなってしまった1代目のその人―が死んでしまった時に、ひいおばあちゃんは死神に出会って、死神にお願いしてお母さんを救ってもらった。そして、その代りに死神に心を奪われてしまった。 ひいおばあちゃんが大人になった誕生日の日、死神が魂を奪いに来た。けど、ひいおばあちゃんの兄弟が、死神を説得した。 死神はひいおばあちゃんの命を奪わなかった。死神もひいおばあちゃんを愛していたから。でも、ひいおばあちゃんが年を取って最期を迎えた後、ひいおばあちゃんのゴーストは二度とこの世に戻ってこなかった。 きっと、死神と一緒に永遠に過ごすと決めたから。
私がゴーストに会ったことがない私のひいおばあちゃんは、死神に愛を捧げたっていう話。
その話は本当かもしれない。 私は、ひいおばあちゃんの兄弟のゴーストからその話を聞いた。 そのゴーストは道を挟んだお隣のお屋敷に憑いていて、夜になるとよく家に来て、私と妹に話を聞かせてくれる。 一族の他のゴーストにも会ったことがある。 けど、家族のだれも、アカシアひいおばあちゃんのゴーストには会ったことがない。
新しいコンロがやって来た。 きちんとアップグレードされてて、前のと同じように良く働いてくれる。
私もティーンになってコンロを使うようになった。 新しいコンロを使う時、もう昔のことは考えない。 先の事を、未来の事を考える。 この先、誰がここに立って家族のために料理を作るんだろう?
この先何代にも渡って、たくさんの誰かが、ここでグリルドチーズサンドを作る。
この先、どれだけたくさんのバースデーが、このキッチンで祝われるんだろう?
そうして未来の事を考えてると、たまに、姉さんや母さん、叔母さんの憂うつがよくわかってしまうことがある。 きっとこの先どこまで行っても、何も変わらない。
偉大な作家が言ってるように、どんな家族も突き詰めてしまえば、「ピーターが家を買って結婚した。子供が生まれて、やがて結婚して家を大きくした。もっと子供が生まれて、おっと誰かが死んだ。その繰り返し。次回もお楽しみに」っていうだけ。
そして時々、グリルドチーズをひっくり返しながら、自分より前の事を思い浮かべると、私の家族もその通りなんだって思ってしまう。 家族だけじゃなく自分の毎日だって。朝起きて、ご飯を食べて、学校に行って、宿題をして、スキルを磨いて、寝るだけ。 それって、昨日も同じじゃなかった?
そしてチーズが焼ける匂いで、はっと意識が戻る。両足の裏に、キッチンのタイルの硬さを感じる。 コンロの側はあったかい。 横では、またラマのジョークを口にしながら妹が笑ってる。
ね、おかしいでしょ、もいっこのラマのジョークも聞いてよ。
私が生きる場所は高度3千メートルの上空じゃない。 ここだ。 地上の高さ。今、この瞬間。 私は自分の中から喜びがこみあげてくるのを感じる。今このキッチンにいること、姉さんや妹、父さんや母さんと一緒にいることの喜び。 私達は先祖のゴースト達に見守られてる。私達の未来には、まだ見ぬ子供達が待っている。それを知って、私はすごく安心する。 そう、ここは私の家。
“おバカなラブレガシー”の全ストーリーはここで見ることができます。その他にもCathyさんの手掛けた素敵なストーリーがたくさん待っています。
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