I：ケープタウン事件の報告書

宛先：
CIA長官、M. ルノー

差出人：
N. ヴォルフ

日付：
2043年11月5日

RE：
送り込まれた人員についての報告 - ケープタウン

2043年10月30日午前3時、南アフリカのケープタウンに送り込まれた強襲部隊は、状況の把握に失敗し、いかなる通信にも応答しなくなった。連絡が途絶えてから72時間後、バンカーにドローンが送られ、そこにいたすべてのエージェントが死亡していることが判明した。

ケープタウンのバンカーは政府によって建設され、第二次世界大戦中は隠されていたが、南アフリカが崩壊した直後に再発見され、それ以来、信頼性の高い隠れ家として利用されてきた。隠れ家の位置を示す全記録は数十年前に破壊され、我々の内部マップのみに残されている。どうやって侵入されたのかは現在も調査中である。

バンカー内の損傷したビデオ映像から分かったのは、襲撃者が局地的なシグナルジャマーのプラットフォームを使い、内部と外部のセキュリティシステムを同時に妨害していたことだ。防御線の衛兵は容赦ない攻撃で無力化され、バンカー内の監視チームはSOSを送る前に処刑された。

襲撃者が脱出する際、セキュリティシステムがジャマーの範囲から外れ、「スパイを私の船に近づけるな」という有効な音声が1つ回収された。

音声分析と事前に把握していた座標により、その声の女性は、ノン・パトリエイテドでSPSインパヴィード号の艦長「カミラ・ブラスコ」である可能性が97%という結果となった。

ブラスコがオズと協力しているとしたら、これまで中立だったノーパット軍に対する彼の影響力は10倍になっている。ケープタウンの工作員の任務は、リシュテルスフェルト近辺にいるオズの兵士についての情報を入手することだった。リシュテルスフェルトでは、ウェルスプリングの放棄されたロケット燃料処理施設に兵士が物資を運び込んでいる。

艦長のプロフィールと、ウェルスプリングの惨事に関する現在のファイルを添付する。繰り返すが、オズがもたらす脅威に対処するため、すべての武力の使用許可を強く要請する。中央情報局が躊躇しているせいで、優秀なエージェントたちが命を落としている。

以上

SOOヴォルフ：
ノン・パトリエイテド テロ対策ユニット

II：ブラスコのプロフィール

カミラ・ブラスコ

国籍：スペイン、パナマ
体重：81.6kg
身長：177.8cm
瞳：ダークブラウン
髪：茶

誕生日：2012年5月12日（31歳）
既婚/未婚：未婚
言語：半島スペイン語、パナマスペイン語、英語
軍歴：Fuerza de Guerra Naval Especial（スペイン海軍特殊戦部隊、FGNE）、4年

カミラは、スペイン南部からパナマのコロンに移住した中流階級の夫婦、アンダーとジュリア・ブラスコのもとに生まれた一人っ子だ。当時の小学校の記録によると、カミラは泳ぎが得意で、自由時間を地元の港の船の周りで過ごしていた。

パナマに淡水供給危機が訪れると、取引が阻害され、必需品の価格が急騰し、国中で暴動が起こった。カミラの両親は、カミラが安定した教育を受けられるように、彼女をスペインのビーゴに住む祖父アントニオのもとへ送った。

アントニオ・ブラスコは、フランコ政権を批判する名の知れた批評家で、彼の政治活動がカミラの心に反抗の火を付けたようだ。10代の頃に自衛の訓練を受け、2028年にはスペインのマリンにある名門海軍兵学校に入学する。カミラは5年間のプログラムで秀でた能力を発揮し、FGNEの隊員として頭角を現す。

FGNEは、スペインの海賊対策活動に密接に関係している偵察部隊にカミラを配属し、カミラはチームを率いて島全体に匹敵する資源を破壊する任務を遂行した。持続的成功によりカミラは艦長へと昇進し、より広範なヨーロッパの防衛と危機管理に焦点を当てた、EUのCSDP（共通安全保障防衛政策）の新任務を得る。

2035年、カミラの祖父の死により、カミラはスペインに戻ることになる。葬儀の際、彼女は10年以上ぶりに両親と再会したが、パナマが崩壊して数年後、気候によって誘発された農作物火災と深刻化する食料不足により、スペインは同様の不安定な兆しを見せていた。

カミラはSPSインパヴィード号での任務に戻る。これは新たに就役した船舶で、壊滅的な洪水被害を受けた南アフリカの難民危機に対処するために派遣される。危機における彼女の活動が認められカミラは指揮官に昇進するが、インパヴィード号が港に戻る前に海賊に襲われ、乗船される。指揮官が人質に取られ、身代金のために拘束されたが、内部崩壊したスペイン政府はインパヴィード号のSOSには応じなかった。

海賊が仲間の将校を虐殺し始めると、カミラは営倉から脱出し、船を奪還した。カミラは残りの襲撃者たちを自ら処刑し、インパヴィードの指揮官を務めた。スペイン政府からの支援不足と、生き残った乗組員の満場一致の採決により、2038年、カミラは国を捨て、ノン・パトリエイテドになる。

現在、カミラはノーパットの艦隊全体を率いており、船間の物流により、実質上の浮遊都市として機能している。カリスマ的リーダーシップにより、カミラは「提督」という愛情のこもったニックネームを獲得し、世界中でノン・パトリエイテドの運動を支援している。

SSOヴォルフのメモ

中央情報局の前哨基地全体を1人で破壊できる兵士がいるならば、それはカミラ・ブラスコだ。冷酷な奇襲戦術と比類なき秘密工作の才覚を兼ね合わせている。彼女が今年初めにパナマでエクソダスを支援した際、私は同盟関係は一時的なものだろうと思っていた。彼らが恒久的な相互援助に合意したなら、最悪の場合、リシュテルスフェルトにいるオズの無法者たちを強化することになる。何としてでもブラスコとインパヴィードを永久に沈める最善の方法を見出さねばならない。

リヴァイアサン師団はブラスコの私的なタスクフォースであり、彼女はこの船舶のノーパット契約を通じて分配される資金の大半を受け取っている。彼らは最先端のテクノロジーを駆使して配備され、少人数の兵士で壊滅的な効果を上げる策敵せん滅作戦を得意とする。彼女がアメリカの工作員を狙うなら早急に知る必要がある。

III：ウェルスプリングの爆発 – 概要レポート

履歴

ウェルスプリングは、2022年にアメリカの鉱山系複合企業に紐づく複数のシェルカンパニーの出資により設立されたアメリカの物流会社である。基本的にはシェルカンパニーの中のシェルカンパニーであり、有限責任で他国での経済活動を可能にした企業だ。ウェルスプリングは、アフリカ全域で「ワイルドキャット」と呼ばれる採掘事業を展開しており、そのほとんどは地元政府の法的許可なく運営されている。

彼らの主要施設はリシュテルスフェルトにあり、生物多様性の高い地域からロケット燃料用の希少資源を可能な限り高速で採掘していた。周辺の部族村からは、汚染水や壊滅的被害を受ける野生生物について何年も苦情が寄せられていたが、ウェルスプリングが資金提供する傭兵は、採掘が中断されないように厳しい防御態勢を維持した。ある村人は、やがて現地当局のオペレーションに参加し、民兵の訓練を受けた後、関係を絶たれた（「オズ」ことロイソ・オクサーニャのファイルを参照）。<.p>

産業事故

2037年、リシュテルスフェルトにあるウェルスプリングの処理施設で原因不明の火災が発生した。引火の原因は、暴風で貴重なガラス繊維の部品が破損したためか、燃料の配合に欠陥があったのか、産業廃棄物のドラム缶に関する安全プロトコルが欠如していたのか、報告はまちまちである。ドラム缶の1本が爆発し、施設全体に被害が及び、ウェルスプリングの従業員は全員避難した。

煙と不適切な化学物質の保管による汚染は、周囲数マイルに渡って環境を破壊し、その状態が長く続いたため、ウェルスプリングは回復を試みることなく、最終的にこの拠点を放棄した。約5年間、この地域は人が住めない場所とされていた。

偵察兵のレポート

2042年、ケープタウンを拠点とするチームから、リシュテルスフェルト近辺でノーパットの物流車両を目撃したとの報告があった。このノーパット隊員は、ウェルスプリング号の残骸の外にキャンプを張り、オレンジ川から上がってくる小型の軍艦から増援を得たらしい。集団はオズに忠誠を誓っており、オズの直属の部下として働いていると思われる。

オズはシアーウォーターの技術を保有しているが、この集団は兵器を作ることにはあまり関心がないようだ。その代わりに彼らが何を作っているかは不明である。ウェルスプリングの施設は、大幅な修復が行われなければ危険なままであり、その自然資源は未知の効果の環境修復がない限り損なわれている。

IV：トランスクリプト – 送り込まれたエージェント / SPSインパヴィード号

宛先：
CIA長官、M. ルノー

差出人：
N. ヴォルフ

日付：
2043年10月29日

RE：
最後の通信（ルイス）

10月1日よりSPSインパヴィード号に送り込まれたルイス捜査官による秘密録音の抜粋。このデータの受信後、ルイスはハンドラーと連絡がとれなくなり、安否の確認がとれない状態にある。彼に彼は危険に晒されていると考えるべきで、そうでない証拠がない限り戦死したものとみなす。

グレーブス：
パナマでのお前の活躍には感謝している。

ブラスコ：
子供時代への郷愁とでも言おうか。だからといって、無条件で味方になるわけではないが。

グレーブス：
エクソダスを助ける妨げにはならなかったな。インパヴィード号が支えてくれなければ沈んでいただろう。

ブラスコ：
ゼインはお前と一緒だろ。彼が誰に仕えているか分かっている。

グレーブス：
…オズを信用していないな。

ブラスコ：
お前は？

グレーブス：
信頼ではないかもしれない。好奇心とでも言おうか。

ブラスコ：
権力者たちは、もがき苦しむ者たちに常に新しい世界を約束する奴のやり方は好かない。

グレーブス：
でも、ナクマランドまでは護衛してくれるんだろ？

ブラスコ：
ああ。船体に穴の開いた船は見捨てられないからな。そんなことをしたら部下にどう思われる？

グレーブス：
[苦笑]

この部分から録音データは破損している。ルイスはブラスコとグレーブスに近づこうとしたが、彼の機器が艦長室のシグナルジャマーによる攻撃を受けたと考えられる。ルイスの代わりにSPSインパヴィード号へ新しい人員を配属することを要請する。

以上

SOOヴォルフ：
ノン・パトリエイテド テロ対策ユニット

V：関係者各位

宛先：
N. ヴォルフ

差出人：
CIA長官 M. ルノー

日付：
2043年11月6日

RE：
送り込まれた人員についての報告 - ケープタウン

この報告でオズとその過激派グループに対する懸念が高まるばかりだ。スウェーデンで彼を排除できなかったことが、他の脅威の連鎖的な出現を招いている。もし、エクソダスの生存者が我々の誤った攻撃について公に話すことがあれば、さらに多くのノン・パトリエイテド勢力を彼の側に追いやる可能性もある。オズは反乱の火種であり、それが本格化する前に消し去らなければならない。

君はノン・パトリエイテド テロ対策ユニットを統括し、人員はほとんど無制限、予算もかなりのものを与えられている。当局は捜査官の死を十分に認識しており、彼ら全員が君に忠実であったことをよく把握している。それを忘れるな。ミッションを完遂しろ。

ルノー長官